お知らせ
新型コロナウイルスについて
2021.6.30
目次
医療法人社団歯友会 赤羽歯科 戸田診療所 院長の三井です。
現在もなお猛威が収まらない新型コロナウィルス!
国内では、感染者数79万6603人、死亡者数 1万4713人(6月28日時点)
ワクチン接種も少しずつ進んでいますが、まだまだ以前のような安心して生活できる状況ではありません。
新型コロナウィルスが世の中に発現して一年半、いろいろな研究がこのウィルスに関してされている中、私たち歯科に関係のある事もわかってきました。
今回は、その中でも我々にとって切っても切れないお口の中の健康との関連についてお話ししたいと思います。
まずは、新型コロナウィルスのついて説明します。
新型コロナウィルス(SARS‐CoV‐2)は、エンベロープという脂質(油の成分)でつくられた膜の中に、自らの設計図(ゲノム情報といいます)を書き込んだ一本鎖のRNA(リボ核酸)などを容れた構造をしてます。
そしてエンベロープ上にはスパイクたんぱく質という突起のような構造をしたタンパク質が多数突き出しています。
新型コロナウィルスの細胞への感染は,細胞表面に発現する受容体(ACE2)と新型コロナウィルスのSタンパク質が結合することによっておこります
次に新型コロナウィルスと口の中との関連についてお話します。
新型コロナウィルスの初期症状として,味覚異常と嗅覚異常が起こることがよく知られていますが,これは受容体(ACE2)が舌の表面の粘膜に多く存在し,新型コロナウィルスが舌粘膜等に感染した結果,味覚障害が生じている可能性があります。
いろいろな組織における受容体の発現をデータベースで調べた結果,肺や腸管で高い発現が認められるとともに,口の中の,特に舌粘膜に受容体(ACE2)が多く発現していることが報告されています。
新型コロナウィルス患者ではありませんが,ヒトの舌の奥のほうや歯茎(歯肉)の表面に受容体(ACE2)が発現免疫染色で確認されているそうです。
また受容体(ACE2)が唾液腺の管,唾(つば)を作り出す細胞や隣接する細胞,くちびるのまわりや顎の下の唾液腺等にも発現していることが報告されています。
つまり、お口の中には、たくさんの新型コロナウィルスの受容体(ACE2)が存在しており,常に新型コロナウィルスに感染しやすい環境といえるのではないでしょうか!
また歯周病の原因菌が誤飲されると,菌自体や病原因子の刺激により,肺や気管支などで受容体(ACE2)の発現が高まる可能性があるそうです。
実際に歯周病原菌は,肺炎の原因菌の受容体の発現を高めることが報告されており肺の細胞において,受容体(ACE2)の発現を誘導するそうです。
すなわち,歯周病は,受容体(ACE2)の発現を増加させ、新型コロナウィルスの感染を促進させる可能性があるといえます。
新型コロナウィルス患者において,重症な呼吸障害は死亡の主な原因になりますが、引き起こす要因として炎症物質の多量発生(サイトカインストーム)の関与が指摘されています。この炎症物質の上昇が死亡率と関連しており,重症者は過剰な,炎症状態にあると考えられています。
そして、なんと歯周病菌が気管支,肺および咽頭の細胞からこの炎症物質を誘導することが報告されているのです。
このように歯周病菌をはじめとする口腔細菌が新型コロナウィルスの進展になんらかの影響を及ぼしていると推察されています。
歯周病がひどくなると歯周病菌やその毒素などが血管に入り込んで新型コロナウィルスを重症化させる可能性も考えられます。
口腔ケアは、マスク、手洗い、うがいと同様新型コロナウィル対策の基本と考えても過言ではないでしょうか。
最後になりましたが喫煙の方はくれぐれも気を付けてください。
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